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ヴィーガンシューズは環境によいのか?

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ヴィーガンになる動機にはいくつかの種類があります。

昨今もっとも多いのは、「環境によいから」という理由ではないでしょうか。畜産業が縮小すれば、その分飼料作物の必要が減って農地も要らなくなり、環境への負荷が小さくなります。また、畜産業はそれ自体が多くの温室効果ガスを発生させています。ヴィーガンになることで、こうした環境への悪影響を軽減しようというのが、最近ヴィーガニズムが注目されているもっとも大きな理由だと思います。

これに対し、「靴を選ぶ」という観点から、ヴィーガンシューズが必ずしもそうでない靴と比べたときに環境に対する負荷が小さいわけでもない、ということを論じたのが以下の記事。

https://www.gearpatrol.com/fitness/a35814566/why-vegan-shoes-are-not-saving-the-planet/

たとえば、ビーチサンダルにはふつう動物性のものは使用されていないので、ヴィーガンです。しかし、代わりにプラスティックが使用されています。買い物袋やストローが問題になるこのご時世で、はたしてリサイクルの見込みの薄いプラスティック製のサンダルや靴を生産することの環境負荷がどの程度になるのかは、よくよく計算しなければ評価できないでしょう。

加えて、人工皮革の原料であるポリ塩化ビニル(PVC)には、柔軟性をもたせるための可塑剤にフタル酸エステルなどが使用されています。これら可塑剤は内分泌攪乱物質として乳児用品への使用が制限されるなど、多少の危険を伴う可能性があるもので、人工皮革から溶出してくる可能性があります。環境に対する害という点でどのくらいのインパクトがあるのかは分かりませんが、人体への影響は多少あるのかもしれません。

ヴィーガン素材の一部に上記のような課題がある一方で、世界的なトレンドとして、動物素材を使用した靴が次第に環境に配慮したものになってきてもいます。また、靴用の皮革はそもそも食用とされる動物の本来は廃棄される部位であったりしますから、おおもとである食においてヴィーガニズムが広がらなければ、皮革を使用しようがしまいが変わらない、という可能性もあります。

上記のように、環境のことだけを考えてヴィーガンになろうとするのであれば、それは必ずしも正しい判断ではないという可能性があります。そもそも、環境への負荷を最小限にしようとするとき、「動物由来のものを一切使用しない」というのは最善解にはなりえないでしょう。靴だけでなく、その他の衣料品や食についてもそうですが、動物由来の原料を環境負荷が極めて小さくして利用できる場面は多々ありえるからです。たとえば、繁殖し過ぎた鹿を狩って、食料や皮として利用する場合は、環境に対する負荷はほぼゼロか、あるいは森林が荒らされるのを軽減するという意味で、かえって環境に対してプラスになるかもしれません。

環境のためにヴィーガンになるのなら、少なくとも単に動物由来の原料を使用していないということだけでなく、どのような原料を使っているのかまで、製品をよくよく見極める必要があるでしょう。

一方で、動物に対する搾取をやめるべきだと考える倫理的な観点からヴィーガンとなることを選ぶのであれば、やはり靴についてもヴィーガンの選択をすることになります(私もそうです)。

さて、最後に、ヴィーガンシューズをふたつ紹介します。有名な例なのでご存知かもしれませんが、アディダスがいまヴィーガン/サステイナブル志向のスニーカーを販売しています。

https://shop.adidas.jp/item/?sustainable=vegan

他にもネットで検索すればいろいろな製品が見つかるかと思いますが、私自身は以下のブランドのシューズを愛用しています。

https://www.bravegentleman.com/