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ヴィーガニズムにまつわる誤解

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ヴィーガニズムがどのようなものかについては、色々な誤解があります。以下の記事で主要な5つのものについて語られていますが、日本ではどうかという観点も踏まえたうえで、私自身の考えを織り交ぜながら説明していこうと思います。

https://www.mensxp.com/special-features/features/84289-common-myths-about-veganism.html

ヴィーガニズムとベジタリアニズムはおなじもの

これについては本ブログでも書いていますので、そちらも参照いただければと思います。

大まかに言うと、ベジタリアニズムが基本的には食生活にかかわる概念であるのに対して、ヴィーガニズムは生活全般についてのものです。ベジタリアンは肉や魚を食べることを避ける一方で、皮革製品を身につけることには疑問をもたないかもしれません。ヴィーガンですと、動物を搾取すること全体を不可と考えるので、食生活から肉や魚や牛乳や卵を除くのと同時に、衣類や家具、医薬品など、自身が使用・消費するあらゆるものについて、動物由来の原料を使っていないものを選択しようとします。

ただし、ベジタリアンと名乗る人の中にも、実際には動物の解放・福祉といった観点からそうした選択をする人は大勢います。私自身も、ヴィーガンという呼び方がまだ日本では一般的でないということもあり、ベジタリアンと自称することは度々あります。ベジタリアンと自称しているからヴィーガンではない、というわけではありません。

ヴィーガンはタンパク質不足

普通の食生活から単純に動物性のものを排除しただけでは、タンパク質不足になります。これは否定しようのない事実です。

しかし、ヴィーガンがタンパク質を摂るための手段は多数あります。リンクした記事には豆類、ドライフルーツ、大豆といった食材が書かれています。日本では、とくに豆腐や納豆といった大豆製品が有力なタンパク源になるでしょう。そのほか、海外で主要なものとしてはキヌアがあります。こちら、日本でもカルディなどで売られていますし、ネットで購入することもできます。ただし、大豆に比べるとかなり割高になります。

もっと効率のよいものとしては、大豆由来のプロテイン(ソイプロテイン)があります。ただし、ものによってはソイプロテインと銘打っていても乳を含んでいるものがあるので、よく成分を確認することが必要です。

ヴィーガニズムは高くつく

これも一面の真理を含んでいると思います。普通の食生活から動物由来のものを取り除くだけであれば、食費は安くなるでしょう。皮革製品を合皮にか変えても、やはり出費は安くすむと思います。しかし普通の食生活と同じ程度のタンパク質を摂取しようと思うと、食費はかえって高くなる可能性があります。

とくに日本では農作物の価格が高いこともあって、輸入の肉類と大豆製品を比べると、タンパク質含量あたりの単価はどうしても肉類の方が安くなります。もちろん、もともと高級な肉ばかり食べているようなら、ヴィーガンになったほうが食費も安くなります。

また、これも日本ならではですが、外食が異様に安いということもポイントです。もちろん普通のレストランであれば、スーパーで食材を買って作る家庭料理よりは高くつきます。しかし、牛丼のような安さを売りにした店は、自炊するのに近い単価で食事を提供しています。残念ながら、こうした店がヴィーガン向けのメニューをもっていることはありません。もともと外食中心の食生活を送っている場合、ヴィーガンになると食費が高くなると思います。

こうしたことを踏まえた上で、多少タンパク質の摂取量を減らすことが、食費を維持するためには必要になります。

豆乳だけが選択肢

牛乳は多くの人にとって重要な栄養源であり、デザート類の味をよくするための原材料でもあるでしょう。栄養源という観点からは、植物由来の素材でも代替しやすいものです。

その一方で、デザート類、菓子類には、牛乳を使用しているものが無数にあります。普通の食生活を送っていると意識することはないかもしれませんが、試しにスーパーの菓子コーナーで原材料を確認してみれば、とくに西洋系の菓子のほとんどに乳製品が使われていることに気づくはずです。

牛乳の代替品としては、豆乳の他、リンク先に書かれているようにココナッツミルク、アーモンドミルク、ヘンプミルク、カシューミルク、ライスミルクなど、いろいろなものがあります。飲み物として消費するのであれば、多少高くはなりますが、これらのうちに気に入るものがあれば、ヴィーガンとなって困ることは少ないでしょう。

しかし、菓子を中心として、もともと多くの食材に牛乳が使われているということは、ヴィーガンにとって厄介です。パンについても、普通のスーパーの売り場には乳製品を使っていないものはほとんど置いてありません。スープも、クリーム系のもので豆乳などをベースにしているものは普通は見かけません(なお、クリーム系でなくても、スープはコンソメやチキンエキスなど使用しているので、普通のスーパーではヴィーガンの選択肢は皆無です)。

こうした利便性の面での不自由を受け入れた上で、もし乳製品を使った味をそれでも楽しみたい場合は、そうした製品が売られている店を探すか、通販を利用するか、自身で作るかする努力が必要です。

ヴィーガンは弱くなる

これも、普通の食生活から動物性のものを除くだけだったとしたら、事実でしょう。ヴィーガンという生き方を選択するなら、栄養についてはある程度意識しなければなりません。

かし、ヴィーガンだと体が弱くなるかといえば、そんなことはありません。それは、私自身の実践から、確信をもって言えます。

私は10年以上ヴィーガンをしています。風邪くらいはひくことがありますが、ヴィーガンになってから病気になりやすくなったということも、大病を患ったことも、気力が出ないとか体がだるいといったこともありません。

健康診断の結果も、まったく異状なしです。ただし、最初はヘマトクリット値が低いと診断されたことはありました。もともとそういう体質だったのか、ヴィーガンとなったからなのかは分かりませんが、その後鉄分を意識して摂るようにしてからは、その問題もなくなりました。

もともと何かしら体に問題がある場合には、動物性のものを摂らなくなることで健康に害が生じることはあるのかもしれません。あくまで自身の可能な範囲で試してみてもらえればと思います。もともと健康ならば、少し栄養のことを意識するだけで、ヴィーガンとなっても特段の問題は起こらないでしょう。関心があれば、まずは短期間だけでも、実践してみてはいかがでしょうか。