ヴィーガニズムの推進力は健康志向

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立教大学の学生とネオマーケティング株式会社による、全国400人のヴィーガンやベジタリアンを対象としたインターネット調査の結果が公表されています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000227.000003149.html

ランダムに400人を抽出したわけではないので、日本人の何パーセントがヴィーガン・ベジタリアンかといった議論はできません。また、本調査では回答者の11%がヴィーガン、54%がベジタリアンでしたが、このおおよそ1対4という比率も、どのように回答者を募ったか分からないため、偏りがある可能性があります。

それでも、国内のヴィーガンやベジタリアンの傾向について把握するのに有用な情報が含まれているようです。

ヴィーガンの過半数は健康志向が理由

私がとくに関心をもったのは、ヴィーガンになった理由を回答したものです。過半数(56.8%、複数回答)のヴィーガンが、選択の理由を「健康を意識するようになったため」と回答しています。次いで多いのが「環境問題に関心を持ったため」(38.6%)、「アニマルライツに関心を持ったため」(29.5%)となっています。

ヴィーガンやベジタリアンになる理由はいろいろあるものの、倫理的な理由でヴィーガンとなった私としては、どのような理由であれ結果的に動物の苦しみが軽減されるのであれば歓迎すべきと考えています。しかし、健康を意識するためにヴィーガンになった人の割合がこれだけ多いことを知ると、多少の問題を感じます。

ヴィーガンになったりベジタリアンになったりすることは、健康になるための手段としては不適切だと考えています。当たり前のことではありますが、摂取する食材の種類を制限すると、摂取できる栄養の種類も制限されるからです。

たとえば、ビタミンB12は植物性の食品だけでは欠乏しやすい要素です。他にも、ヴィーガンの生活を送っていると、タンパク質はもちろんですが、鉄分やカルシウムも摂取量が減ってしまいがちです。ヴィーガンになるためには、栄養にそれなりに気を使う必要があるのです。

もちろん、普段肉ばかり食べている人の場合は、野菜を多く食べることでより健康になるでしょう。それでも、これは結果としてベジタリアン等の食生活に「近づいている」というだけで、肉類も多少食べたほうが健康は維持しやすいはずです。肉食を断てば健康になるというわけではありません。何らかの体質的な問題や病気がない限りは、ヴィーガンやベジタリアンの食事は健康になるための手段としては不適切です。

肉を食べなければ健康になる、ということはない

もし、ヴィーガンになったほうがいい理由として健康が最大のものと認知されているとしたら、これはヴィーガニズムやベジタリアニズムを推進したい人にとっては、危うい状態です。ヴィーガンやベジタリアンになることで健康になるのはよほど特殊な体質・条件にある人だけで、そうではない普通の人が栄養のことをあまり考えずに動物性のものを断つと、不健康になることは目に見えています。

ヴィーガン・ベジタリアンになる理由が「健康」だとすると、「健康になれない」と分かった時点で理由はなくなります。もし、ここから課題が一般化されて、ヴィーガニズムやベジタリアニズム自体が不健康なものとして非難されるようなことになれば、倫理的な理由によるヴィーガニズムの理解にも影響が及びかねません。

健康以外にもヴィーガンになる理由はある

そうならないためにも、健康になりたいという理由でヴィーガンやベジタリアンになろうとする人に対しては、あえて警鐘を鳴らしたいです。ヴィーガンになっても、健康は増進されません。

しかし、健康なままでヴィーガンになることはできます。ぜひ、健康以外にヴィーガンになる理由があるということ、一考いただければと思います。

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