日: 2021年3月28日

ビーガン検定はヴィーガニズムの一部しか捉えていない?

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ヴィーガン、ヴィーガニズムについての理解が深まるのは善いことだと思いますし、細々とではありますがそのために私もここでときどき情報を提供しています。ただ、これはいかがなものかと思ったのが、以下に紹介する「ビーガン検定」というもの。

https://vegelifestylist.com/

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000044921.html

みんなのごはんという会社が運営するもので、2級・1級・Pro級の3つのランクがあります。検定だけでなく講習も受けると、取得には2級で12,650円、1級は43,450円、Pro級は86,900円が必要になりますが、2級と1級は検定だけの受験も可能のようです。

さて、世のトレンドに乗ってビジネスをするというのは当然のことですし、それによって社会はよりよいものになっていくのでしょう。それでも、このビーガン検定は、ヴィーガニズムの捉え方が浅薄で、正しい理解につながらないと思えてなりません。以下に1級のカリキュラムを引用してみます。

ビーガン・べジの市場動向、種類毎のニーズと実践的な対応法、メニュー導入・食品開発のポイント、食材の置き換えと調理のポイント、栄養と留意点、サスティナブルな社会との関係(環境・食糧・動物福祉)

飲食業の人がヴィーガンやベジタリアンに食事を出すときには確かに役に立つかもしれませんが、少なくとも以下の2つの点で不十分だと考えます。

1.哲学的な背景が分からない

ビジネスとしては必須ではないかもしれませんが、上記のカリキュラムは、ヴィーガニズムやベジタリアニズムの哲学的・倫理学的な背景に触れていません。最後に「動物福祉」の文字は見えますが、「サスティナブル」という枠組みの中に位置づけられた動物福祉とはいったい何でしょうか。

2.食しか対象にしていない

ヴィーガニズムは、倫理学的な立場の違いはあるにせよ、動物を搾取しないということが理論の柱にあります。動物を搾取しないために動物を食の対象としないのであって、その逆ではありません。動物を搾取しないためには食だけでは不十分で、生活のあらゆる面を考慮する必要があります。しかし、この検定はあくまで食事面での対応のみを取り扱ったもののようです。

ヴィーガニズム・ベジタリアニズムが世に広まるのは望ましいことと考えていますが、この検定は「ビーガン検定」というよりは「ビーガン食検定」のようです。試しに受験してみようかとも思いますが…それはあくまでここで書いた内容を確認するためであって、ヴィーガニズムを推進するために、あるいはヴィーガニズムをより深く学ぶためにこの検定を受けようとは思えないことが、大変残念です。