ベジタリアン・ヴィーガン・動物解放論者の違い

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社会生活を送り、他者との接点をもつ上で、動物解放論がもっとも影響するのは食事のことです。何を食べられるのか、何を食べないのかといったことは、ベジタリアンでない人と一緒に過ごすときに、一番頻繁に問題となることです。そこで必然的に、とくに説明する時間があまりない場合は、私は自分のことをベジタリアンないしヴィーガンと自己紹介することが多いです。

一方、時間がある場合や、深いつながりが生じるであろう相手には、私は自分を動物解放論者だと形容します。

動物解放論と、ベジタリアニズム・ヴィーガニズムは、同じものを指す場合も多いですが、意味するところが異なる場面も多々あります。

動物解放論とは

一般的には、動物解放論はベジタリアニズム・ヴィーガニズムを含むと思われます。奴隷解放や女性解放と同様のロジックで、道徳的配慮の対象として適切に認められていなかった動物という主体にもしかるべき配慮をすべきであるというのが、動物解放論の概要です。したがって、動物解放をとなえるなら、ふつうは動物を殺さない、傷つけない、すなわち動物を食べないというライフスタイルをもつことになります。ただし、動物に今以上の道徳的配慮をすべきと論じていても、それが動物を食べることをやめることまでは要求しない可能性はあります。この場合、動物解放論者であっても、必ずしもベジタリアンであるとは限りません。

ベジタリアニズムとは

一方、ベジタリアンという言葉は、基本的には食生活のスタイルを指すものです。動物解放論の一環としてベジタリアニズムを実践していることも多いでしょうが(私もこれに当てはまります)、肉が嫌いだから食べないとか、アレルギー等の理由でそもそも肉を食べられないといった人も、ベジタリアンであるわけです。また、動物解放論者は食用以外での、たとえば皮や毛といった形での動物の利用も拒否することが普通ですが、動物解放論以外の理由でベジタリアニズムを実践している場合、皮革製品などを使用している可能性があります。

ヴィーガニズムとは

ヴィーガニズムは、ベジタリアニズムをさらに進めたもので、卵や牛乳といった動物の生命を奪わない形であっても、動物の食用での利用を拒むものです。殺されなくとも、狭いケージに囚われてストレスの高い環境で生きざるを得ないのであれば、その動物はしかるべき道徳的配慮を受けていないことになる、というのが、動物解放論的な見地からヴィーガニズムが推奨される理由です。その一方で、たとえばマクロビオティックのような、基本的には人間の健康を旨としての食生活も、内容としてはヴィーガンのものと同様ですから、動物解放論者とヴィーガンが必ずしも重なるわけではありません。

まとめ

上記のように、動物解放論が動物に対する道徳的配慮を要求する立場である一方で、ベジタリアニズム・ヴィーガニズムは動物を食べることを拒むという食生活の面での実践です。私は、より正確に説明をするなら、動物解放論を唱えてヴィーガニズムを実践している、ということになります。

実践していない人にとってはいずれも似たような概念に思えるかもしれません。ベジタリアンや動物解放論者と呼ばれる人々がそれぞれどのような立場をとっているのか、上記で大まかに捉えることができると思います。

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